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文字数 1,036文字
ナズナを始めとする全員が、ユーフェイの魔力の気配を強く感じた。
どうやらこの部屋の中のどこかにあるらしい。ここからは虱潰しに探すしかないようだ。手分けして探索を開始する。
一度ユーフェイはナズナの中へ還り、ナズナは本棚を中心に探し始めた。
ここも魔法関連の本ばかりだ。ここはすでに現代でも広く使用されている魔法について書かれた魔導書もあれば、歴史の闇に葬られた禁断魔法について記されている禁書もある。
そして一部の本棚には、今はこのレガシリアにはいない魔族について書かれている本もあった。
禁書が並ぶ棚に“人工的に神を造る”という題名の背表紙があり、ナズナの目を惹いた。
何気なしにその本に手を伸ばそうとすると、突然ナズナの手に誰かの手が重ねられる。
驚いて手の主の方を見ると、魔界の王が立っていた。
「エリゴス…?」
驚いた主の呼び掛けを遮るように、ナズナの手に重ねられていた手が素早く彼女の口に移動し、優しく塞ぐ。
『静かにしていろ。あの二人に見つかると面倒だからな』
悪戯っぽく笑いながらそう言うと、エリゴスはナズナを本棚の影へ押しやり、リュウシン達の目が届かないように隠した。
そっとナズナの口から手を離し、上から彼女の紅い瞳を覗き込む。
本棚とエリゴスの身体に挟まれてナズナは身動きが取れないため、じっとエリゴスの赤紫の瞳を見上げるしかない。
縋るような彼女の目つきにエリゴスは楽しそうに喉の奥で笑いながら、耳に唇を寄せる。
『お前の“夢”、聞き届けたぞ』
それだけ囁いて、エリゴスは姿を消した。
残されたナズナは彼の言っていた“夢”が何のことか分からずに首を傾げる。
「私の夢…?」
自身の夢はユーフェイに命を捧げると決めた時から捨てたはずだ。
代わりがあるとするならば、ユーフェイの悲願と水妖族の帝国を元の姿へ戻すこと。
最も、水妖族の帝国元の姿の記憶はまだ取り戻していないが。
彼の言っていたナズナの夢とはそのことだろうか。
「シェンジャ様、一体そこで何をしているのです?」
突如響いたジンフーの声で我に返る。
狭い本棚の間で一人ぼーっと立っているナズナの姿は、端から見れば怠けているようにしか見えない。
もしリュウシンに見つかっていたら大激怒されていただろう。
慌ててナズナは短く謝罪し、再び記憶の欠片の探索へと戻った。
そんな彼女を不思議そうに眺めていたジンフーだったが、すぐに別の場所を探しに向かった。
どうやら彼はエリゴスがここへ来ていたことに気付かなかったようである。何となくそれに安堵した。
どうやらこの部屋の中のどこかにあるらしい。ここからは虱潰しに探すしかないようだ。手分けして探索を開始する。
一度ユーフェイはナズナの中へ還り、ナズナは本棚を中心に探し始めた。
ここも魔法関連の本ばかりだ。ここはすでに現代でも広く使用されている魔法について書かれた魔導書もあれば、歴史の闇に葬られた禁断魔法について記されている禁書もある。
そして一部の本棚には、今はこのレガシリアにはいない魔族について書かれている本もあった。
禁書が並ぶ棚に“人工的に神を造る”という題名の背表紙があり、ナズナの目を惹いた。
何気なしにその本に手を伸ばそうとすると、突然ナズナの手に誰かの手が重ねられる。
驚いて手の主の方を見ると、魔界の王が立っていた。
「エリゴス…?」
驚いた主の呼び掛けを遮るように、ナズナの手に重ねられていた手が素早く彼女の口に移動し、優しく塞ぐ。
『静かにしていろ。あの二人に見つかると面倒だからな』
悪戯っぽく笑いながらそう言うと、エリゴスはナズナを本棚の影へ押しやり、リュウシン達の目が届かないように隠した。
そっとナズナの口から手を離し、上から彼女の紅い瞳を覗き込む。
本棚とエリゴスの身体に挟まれてナズナは身動きが取れないため、じっとエリゴスの赤紫の瞳を見上げるしかない。
縋るような彼女の目つきにエリゴスは楽しそうに喉の奥で笑いながら、耳に唇を寄せる。
『お前の“夢”、聞き届けたぞ』
それだけ囁いて、エリゴスは姿を消した。
残されたナズナは彼の言っていた“夢”が何のことか分からずに首を傾げる。
「私の夢…?」
自身の夢はユーフェイに命を捧げると決めた時から捨てたはずだ。
代わりがあるとするならば、ユーフェイの悲願と水妖族の帝国を元の姿へ戻すこと。
最も、水妖族の帝国元の姿の記憶はまだ取り戻していないが。
彼の言っていたナズナの夢とはそのことだろうか。
「シェンジャ様、一体そこで何をしているのです?」
突如響いたジンフーの声で我に返る。
狭い本棚の間で一人ぼーっと立っているナズナの姿は、端から見れば怠けているようにしか見えない。
もしリュウシンに見つかっていたら大激怒されていただろう。
慌ててナズナは短く謝罪し、再び記憶の欠片の探索へと戻った。
そんな彼女を不思議そうに眺めていたジンフーだったが、すぐに別の場所を探しに向かった。
どうやら彼はエリゴスがここへ来ていたことに気付かなかったようである。何となくそれに安堵した。