10-13
文字数 1,033文字
意識を戻し、ゆっくりと目を開ける。
次の欠片の在り処が海底ということで、人間(少し妖精の血も混じってはいるが)であるナズナに行けるのだろうか。
水の中を自由自在に動くことが出来る、ということであればかつてのようにリュウシンやジンフーの力を借りるべきだろう。しかし光が差さないくらい深いと、彼らの力を借りてもナズナには厳しい。
ノイシュテルンの城下町とポーラル=シュテルンの港町を繋ぐ魔法の転移装置みたいなのがあればよかったのだが、今浮かんだ映像を思い出すにそれは難しそうである。
憂い顔のナズナに、メルセデスが心配そうに声を掛けた。
『ナズナ様、どうなさったのです?』
「あ…いえ…次の欠片は海底にある神殿のようで、どうやってそちらへ向かおうかと考えていたのです」
『海底にある神殿…か』
忌々しそうにユーフェイは顔を顰めた。
どう考えてもガイアの言っていたあの図書館だろう。
ナズナの記憶の欠片を隠したのがあの魔界の王だということで、どうも仕組まれているような気がしてならない。
彼はメルセデスとは違い、何が何でもナズナを救おうとしている訳ではない。あくまでもあの魔界の王はナズナの気持ちに従うという感じではあったが…。
ともかく、記憶の欠片がそこにあるというのならユーフェイ自身に行く気がなくても向かわざるを得ない。自分の魔力を取り戻すためでもあるのだから。
ユーフェイは溜息を吐きながら花嫁の元へ歩み寄る。
『その神殿へ向かうのならば、我の力が役に立つぞ』
「え?本当ですか?」
『ああ。我と魔力の波長を同調すれば、汝は水の中で呼吸できるようになり、自在に動き回ることが出来る。水の冷たさも気にならなくなるぞ。
以前北の海に入った時、風邪こそは引いてしまったが、死に至ることはなかっただろう?あれは我の加護があったからだ』
「そうだったのですか…ユーフェイってすごいですね!」
ナズナの賞賛にユーフェイが少し頬を緩ませる。彼女の素直な言葉は孤独な神の心を喜ばせた。そこへ、メルセデスが間に割って入る。
『決まりですわね。そうと決まればさっそく向かいましょう』
まさか大地の精霊の娘がついてくるとは思わなかったので、ユーフェイは目を丸くした。
先程の件やユーフェイと剣を交わしたことで、てっきり彼女はここで別れるかと思っていたのだ。
『な、汝もついてくるのか…?』
さも当然と言わんばかりにメルセデスが胸を張る。
『当たり前ですわ!ナズナ様は私の主ですから。
それに、まだ諦めた訳ではありませんもの』
次の欠片の在り処が海底ということで、人間(少し妖精の血も混じってはいるが)であるナズナに行けるのだろうか。
水の中を自由自在に動くことが出来る、ということであればかつてのようにリュウシンやジンフーの力を借りるべきだろう。しかし光が差さないくらい深いと、彼らの力を借りてもナズナには厳しい。
ノイシュテルンの城下町とポーラル=シュテルンの港町を繋ぐ魔法の転移装置みたいなのがあればよかったのだが、今浮かんだ映像を思い出すにそれは難しそうである。
憂い顔のナズナに、メルセデスが心配そうに声を掛けた。
『ナズナ様、どうなさったのです?』
「あ…いえ…次の欠片は海底にある神殿のようで、どうやってそちらへ向かおうかと考えていたのです」
『海底にある神殿…か』
忌々しそうにユーフェイは顔を顰めた。
どう考えてもガイアの言っていたあの図書館だろう。
ナズナの記憶の欠片を隠したのがあの魔界の王だということで、どうも仕組まれているような気がしてならない。
彼はメルセデスとは違い、何が何でもナズナを救おうとしている訳ではない。あくまでもあの魔界の王はナズナの気持ちに従うという感じではあったが…。
ともかく、記憶の欠片がそこにあるというのならユーフェイ自身に行く気がなくても向かわざるを得ない。自分の魔力を取り戻すためでもあるのだから。
ユーフェイは溜息を吐きながら花嫁の元へ歩み寄る。
『その神殿へ向かうのならば、我の力が役に立つぞ』
「え?本当ですか?」
『ああ。我と魔力の波長を同調すれば、汝は水の中で呼吸できるようになり、自在に動き回ることが出来る。水の冷たさも気にならなくなるぞ。
以前北の海に入った時、風邪こそは引いてしまったが、死に至ることはなかっただろう?あれは我の加護があったからだ』
「そうだったのですか…ユーフェイってすごいですね!」
ナズナの賞賛にユーフェイが少し頬を緩ませる。彼女の素直な言葉は孤独な神の心を喜ばせた。そこへ、メルセデスが間に割って入る。
『決まりですわね。そうと決まればさっそく向かいましょう』
まさか大地の精霊の娘がついてくるとは思わなかったので、ユーフェイは目を丸くした。
先程の件やユーフェイと剣を交わしたことで、てっきり彼女はここで別れるかと思っていたのだ。
『な、汝もついてくるのか…?』
さも当然と言わんばかりにメルセデスが胸を張る。
『当たり前ですわ!ナズナ様は私の主ですから。
それに、まだ諦めた訳ではありませんもの』