6-14
文字数 1,018文字
「あ、そうですね」
では、とナズナは懐からペンダントを取り出して元あった欠片に今見つけた欠片をくっつけさせる。すると翡翠色の光が溢れ出し、光の中から長身の青年が現れた。
ナズナの戻ってきた記憶の中で何度も見た、水妖族の唯一神・ユーフェイシンジュンだ。
見慣れない青年の出現にジェラルドは驚く。尻尾の毛を逆立てながら壁に飾ってあった儀式用の槍を手に取り、切っ先をその見慣れない青年に突き付けた。
「貴様…何者だ?!一体どこから入り込んだのだ?!」
「彼は…ユーフェイシンジュン。水妖族と呼ばれる種族の神です」
「水妖族…?聞いたことないが…」
『東大陸“青藍”にしかおらぬ種族だ。この大陸にはおらんよ』
「!!」
人好きする笑みを浮かべてユーフェイシンジュン…ユーフェイはナズナとジェラルドの間にするりと割り込む。ユーフェイから一瞬だけ目を離した隙に間にいたので、ジェラルドは思わず儀式用の槍を落としそうになった。
ユーフェイはジェラルドの動揺を気にすることなく、恭しく挨拶した。
『やんごとなき獣人族の青年よ。貴殿が協力してくれたおかげで我が花嫁の記憶の欠片が戻り、我がこうして外へ出て来られるようになった。
深く感謝している』
ユーフェイの言葉にジェラルドは訳が分からないといった様子でナズナの方を見る。
ナズナの意志に反してこうして彼が表に出てきてしまった以上、説明せざるを得ないだろう。先程手に入れた記憶の欠片の中に彼に関する記憶等が入っているかは分からないので、今の時点で把握している情報を話すことにした。
「今の時点では…幼い頃、私は何者かに水妖族の都である蒼湖帝国に連れ去られ、何かの儀式を行い、彼との契約を無理矢理結ばされたのです」
『そう。我と契約を結ぶと言うことは。我の花嫁になるということだ。
といっても今の状態は貴殿達で言う…婚約に当たるがな』
呆気に取られているジェラルドに、今までユーフェイのことを黙っていた非礼を詫びる。
「彼のことを話さなかった非礼をお許し下さい。その、私自身もまだ彼のことを把握出来ていない部分もありますから…」
『核心に触れるような記憶をまだ取り戻しておらぬからな。混乱するのも無理はないだろう』
ナズナの抱える事情は大体把握出来たジェラルドだが、如何せんこのユーフェイという水妖族の神はどうも某商人並みに胡散臭い。だが、神々しい魔力を感じるに、彼の言っていることは真実なのだろう。彼からは常に重い威圧感が放たれている。
では、とナズナは懐からペンダントを取り出して元あった欠片に今見つけた欠片をくっつけさせる。すると翡翠色の光が溢れ出し、光の中から長身の青年が現れた。
ナズナの戻ってきた記憶の中で何度も見た、水妖族の唯一神・ユーフェイシンジュンだ。
見慣れない青年の出現にジェラルドは驚く。尻尾の毛を逆立てながら壁に飾ってあった儀式用の槍を手に取り、切っ先をその見慣れない青年に突き付けた。
「貴様…何者だ?!一体どこから入り込んだのだ?!」
「彼は…ユーフェイシンジュン。水妖族と呼ばれる種族の神です」
「水妖族…?聞いたことないが…」
『東大陸“青藍”にしかおらぬ種族だ。この大陸にはおらんよ』
「!!」
人好きする笑みを浮かべてユーフェイシンジュン…ユーフェイはナズナとジェラルドの間にするりと割り込む。ユーフェイから一瞬だけ目を離した隙に間にいたので、ジェラルドは思わず儀式用の槍を落としそうになった。
ユーフェイはジェラルドの動揺を気にすることなく、恭しく挨拶した。
『やんごとなき獣人族の青年よ。貴殿が協力してくれたおかげで我が花嫁の記憶の欠片が戻り、我がこうして外へ出て来られるようになった。
深く感謝している』
ユーフェイの言葉にジェラルドは訳が分からないといった様子でナズナの方を見る。
ナズナの意志に反してこうして彼が表に出てきてしまった以上、説明せざるを得ないだろう。先程手に入れた記憶の欠片の中に彼に関する記憶等が入っているかは分からないので、今の時点で把握している情報を話すことにした。
「今の時点では…幼い頃、私は何者かに水妖族の都である蒼湖帝国に連れ去られ、何かの儀式を行い、彼との契約を無理矢理結ばされたのです」
『そう。我と契約を結ぶと言うことは。我の花嫁になるということだ。
といっても今の状態は貴殿達で言う…婚約に当たるがな』
呆気に取られているジェラルドに、今までユーフェイのことを黙っていた非礼を詫びる。
「彼のことを話さなかった非礼をお許し下さい。その、私自身もまだ彼のことを把握出来ていない部分もありますから…」
『核心に触れるような記憶をまだ取り戻しておらぬからな。混乱するのも無理はないだろう』
ナズナの抱える事情は大体把握出来たジェラルドだが、如何せんこのユーフェイという水妖族の神はどうも某商人並みに胡散臭い。だが、神々しい魔力を感じるに、彼の言っていることは真実なのだろう。彼からは常に重い威圧感が放たれている。