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文字数 1,038文字
舞踏会の時のように範囲はそう広くない。等間隔で向かってくる銃弾をジェラルドは落ち着いた様子でひらりと躱す。
続いて衝撃波が襲い掛かってきたが、上空に飛ぶことで難なく避けた。そのまま落下し、槍の狙いをリュウシンに定める。狙いを定めたところで、勢いよくそれを投げつけた。
投げられた槍は物凄いスピードでリュウシンに迫る。咄嗟に機械の両腕を顔の前で交差し、防御態勢を取る。耳障りな金属音が訓練場内に鳴り響き、双方が不快そうな表情になった。
ジェラルドの槍はリュウシンの機械の両腕を少々傷つける程度にとどまる。
残念ながらあまりダメージを与えられなかったようだ。
機械の両腕に弾かれた槍はリュウシンの横に乾いた音を立てて転がる。
まだまだ修行が足りんな、と自嘲しながらジェラルドは大理石の床に着地し、丸腰のままリュウシンとの距離を一気に詰めた。
丸腰で特攻してくるジェラルドを、今が好機と言わんばかりにリュウシンが再び手首の銃口で発砲する。
それを獣人族特有のしなやかな動きで避け、低い位置からリュウシンの無防備な顎にジェラルドの拳が炸裂した。
「ぐっ…!」
槍が無ければ戦えないだろうと油断していた。だがジェラルドは槍だけでなく、体術も得意なようだ。
貴族の令息にしては身のこなしが軽すぎるし、自分達と同じくらい戦いに慣れている。
リュウシンがバランスを崩した拍子にジェラルドは転がっている自身の槍を蹴り上げて拾い、構え直す。意外にもジェラルドが押している。
それでもリュウシンの戦意は失われない。
ナズナを、そして水妖族の神であるユーフェイを自身の故郷であるツァンフー帝国へ連れ戻す。ただそれだけの思いで彼はここに立っているのだ。
*
「ユーフェイ様、貴方の魔力が不完全ということは我が同胞であるリュウシンから聞きました。ですが、それを集めることは我々でも出来ること。
我らが帝国が今、どんな状況に置かれているか神である貴方がよくご存知のはず。慈悲深い貴方が何故、我らを捨て置くのですか?」
切実な声音で救いを求めるようにジンフーは神に問う。
彼の問いはナズナも知りたかったことの一つだ。
取り戻した記憶を思い出してみるに、ユーフェイはツァンフー帝国について特に言及していなかった気がする。しかし、今彼を召喚し、ジンフーと対峙させている時は彼の想いが直接ナズナに流れ込んできている。
エリゴスや神威、そしてメルセデスとは異なった方法で契約を結んだせいなのか。
流れ込んでくるユーフェイの想いはとても昏いものだった。
続いて衝撃波が襲い掛かってきたが、上空に飛ぶことで難なく避けた。そのまま落下し、槍の狙いをリュウシンに定める。狙いを定めたところで、勢いよくそれを投げつけた。
投げられた槍は物凄いスピードでリュウシンに迫る。咄嗟に機械の両腕を顔の前で交差し、防御態勢を取る。耳障りな金属音が訓練場内に鳴り響き、双方が不快そうな表情になった。
ジェラルドの槍はリュウシンの機械の両腕を少々傷つける程度にとどまる。
残念ながらあまりダメージを与えられなかったようだ。
機械の両腕に弾かれた槍はリュウシンの横に乾いた音を立てて転がる。
まだまだ修行が足りんな、と自嘲しながらジェラルドは大理石の床に着地し、丸腰のままリュウシンとの距離を一気に詰めた。
丸腰で特攻してくるジェラルドを、今が好機と言わんばかりにリュウシンが再び手首の銃口で発砲する。
それを獣人族特有のしなやかな動きで避け、低い位置からリュウシンの無防備な顎にジェラルドの拳が炸裂した。
「ぐっ…!」
槍が無ければ戦えないだろうと油断していた。だがジェラルドは槍だけでなく、体術も得意なようだ。
貴族の令息にしては身のこなしが軽すぎるし、自分達と同じくらい戦いに慣れている。
リュウシンがバランスを崩した拍子にジェラルドは転がっている自身の槍を蹴り上げて拾い、構え直す。意外にもジェラルドが押している。
それでもリュウシンの戦意は失われない。
ナズナを、そして水妖族の神であるユーフェイを自身の故郷であるツァンフー帝国へ連れ戻す。ただそれだけの思いで彼はここに立っているのだ。
*
「ユーフェイ様、貴方の魔力が不完全ということは我が同胞であるリュウシンから聞きました。ですが、それを集めることは我々でも出来ること。
我らが帝国が今、どんな状況に置かれているか神である貴方がよくご存知のはず。慈悲深い貴方が何故、我らを捨て置くのですか?」
切実な声音で救いを求めるようにジンフーは神に問う。
彼の問いはナズナも知りたかったことの一つだ。
取り戻した記憶を思い出してみるに、ユーフェイはツァンフー帝国について特に言及していなかった気がする。しかし、今彼を召喚し、ジンフーと対峙させている時は彼の想いが直接ナズナに流れ込んできている。
エリゴスや神威、そしてメルセデスとは異なった方法で契約を結んだせいなのか。
流れ込んでくるユーフェイの想いはとても昏いものだった。