11-4
文字数 1,029文字
普通の図書館と違うところはここが海の底にあるということと、研究のための魔法道具が部屋のあちらこちらに転がっているところだろうか。
しかし海の底にあるということで本が劣化していないだろうかと懸念したジンフーが適当な本棚から一冊取り出し、ぱらぱらとページを捲ってみる。
驚いたことにほぼ劣化していなかった。どの本も新品同様とは言い難いが、それなりの品質を保っており、字は読みやすいままである。
ちなみに書かれていた文字はジンフーには読めない文字だった。
彼の横からナズナが覗き込む。ジンフーには読めないが、ナズナはどうにか読める文字だ。
「これは…古代の言葉で書かれていますね」
「何と…!読めるのですか?!」
「は、はい」
かつて家にいた時に家庭教師から学んだ文字である。
主にこの古代語は歴史書や魔導書に用いられた文字だ。普段ナズナ達が使っている文字とは別に、独自に進化していったものである。
水妖族の彼らが読めないのは、おそらく東大陸に伝わらなかったかもしれない。
興奮しながらジンフーは神の花嫁に詰め寄った。
「シェンジャ様!一体この本には何が記されているのですか?!」
「ええと…どうやらこれは魔導書みたいですね。
しかもこの本を書いた人が独自で造った、特殊な魔法みたいです」
「特殊な…何と素敵過ぎる響きでしょう!!」
こういった場所はジンフーにとって楽園らしい。
ナズナとしても魔法をかじる者としてはとても興味深い場所ではあるが、リュウシンの無言の圧力により自分の記憶の欠片を探すことに集中する。
ここに入った時点で気配は強くなったが、如何せん魔法の道具や鉱石が散らばっているために特定しにくい。
ユーフェイに協力を仰ぐべきだとナズナは判断し、召喚する。先程彼との同調で少々疲弊していたが、致仕方ない。
「ユーフェイ…」
『無理をするな、我が花嫁。少し休んでからの方が…』
「いえ…私は大丈夫ですから…」
『…我が無理だと判断したら無理矢理でも休ませるからな』
そう言い聞かせ、ユーフェイは自身の魔力の気配を辿り、花嫁を導いた。
ジンフーは名残惜しそうにしながらも、ナズナの後に続く。古代の文字が読める彼女がいなくてはこの楽園の魅力も半減してしまう。
本棚の森を潜り抜け、さらに下層へと進んで行く。
進んで行くにつれて、本棚の森が消え透明な筒が何本も並ぶ不思議な部屋に辿り着いた。
透明な筒の中には様々な動植物や魔物が不思議な色の液体と共に入れられている。
本で見た標本が並んでいるようだった。
しかし海の底にあるということで本が劣化していないだろうかと懸念したジンフーが適当な本棚から一冊取り出し、ぱらぱらとページを捲ってみる。
驚いたことにほぼ劣化していなかった。どの本も新品同様とは言い難いが、それなりの品質を保っており、字は読みやすいままである。
ちなみに書かれていた文字はジンフーには読めない文字だった。
彼の横からナズナが覗き込む。ジンフーには読めないが、ナズナはどうにか読める文字だ。
「これは…古代の言葉で書かれていますね」
「何と…!読めるのですか?!」
「は、はい」
かつて家にいた時に家庭教師から学んだ文字である。
主にこの古代語は歴史書や魔導書に用いられた文字だ。普段ナズナ達が使っている文字とは別に、独自に進化していったものである。
水妖族の彼らが読めないのは、おそらく東大陸に伝わらなかったかもしれない。
興奮しながらジンフーは神の花嫁に詰め寄った。
「シェンジャ様!一体この本には何が記されているのですか?!」
「ええと…どうやらこれは魔導書みたいですね。
しかもこの本を書いた人が独自で造った、特殊な魔法みたいです」
「特殊な…何と素敵過ぎる響きでしょう!!」
こういった場所はジンフーにとって楽園らしい。
ナズナとしても魔法をかじる者としてはとても興味深い場所ではあるが、リュウシンの無言の圧力により自分の記憶の欠片を探すことに集中する。
ここに入った時点で気配は強くなったが、如何せん魔法の道具や鉱石が散らばっているために特定しにくい。
ユーフェイに協力を仰ぐべきだとナズナは判断し、召喚する。先程彼との同調で少々疲弊していたが、致仕方ない。
「ユーフェイ…」
『無理をするな、我が花嫁。少し休んでからの方が…』
「いえ…私は大丈夫ですから…」
『…我が無理だと判断したら無理矢理でも休ませるからな』
そう言い聞かせ、ユーフェイは自身の魔力の気配を辿り、花嫁を導いた。
ジンフーは名残惜しそうにしながらも、ナズナの後に続く。古代の文字が読める彼女がいなくてはこの楽園の魅力も半減してしまう。
本棚の森を潜り抜け、さらに下層へと進んで行く。
進んで行くにつれて、本棚の森が消え透明な筒が何本も並ぶ不思議な部屋に辿り着いた。
透明な筒の中には様々な動植物や魔物が不思議な色の液体と共に入れられている。
本で見た標本が並んでいるようだった。