12-1
文字数 1,035文字
魔界の政務補佐官ストラの案内を受けながら、ナズナ達は東へと歩みを進める。
歩みを進めながら、ストラは突然あ、と何かを思い出したかのようにナズナの顔の横に降り立った。
『そういえば少し前にユーフェイさんとやり合ったんですよねー。
その後ユーフェイさんお元気です?』
少々意地悪い目つきでナズナの紅い瞳を覗き込む。もちろん、その意地悪い目つきはナズナに向けられているわけではなく、彼女の中にいるユーフェイに向けられている。
やり合った、ということがどういうことか分からずにナズナが首を傾げた。
自分が知らないところで、二人の間に何があったのだろう。
ストラが事情を話す前に、先を歩いていたリュウシンが口を挟んだ。
「ユーフェイ様がオマエのようなカラス風情に負けるはずがない。
今もすこぶる調子がいいに決まっている」
『は?』
リュウシンの生意気な物言いに魔界の政務補佐官の小さな額に青筋が浮かんだ。
水妖族の神の調子がいいのは(ストラの気分的にはあまり良くないが)まだいい。
それに彼の実力についても認めてはいるが、それを水妖族の小僧に言われるのは腹が立つ。
『…君には聞いてないっス』
「フン」
水妖族の青年は鼻を鳴らして政務補佐官から顔を背けた。感じが悪すぎる青年の態度にストラが目を怒らせてナズナの右肩にとまる。
『何なんスか、あれは!彼はいつもあんな感じなんスか?!』
ぶりぶりするストラととりつく島もないリュウシンに苦笑しながらナズナが答えた。
「まあ…そうですね」
『うわあ…ナズナちゃんよくあんなのと一緒にいられるっスね…。
僕だったら数時間も持たないっスよ。あんな態度じゃ女性にもてないっス』
「聞こえているぞ!このカラス風情が!!」
『聞こえるように言ったんスよー』
怒鳴ったのは図星だからっスか?とストラがさらにおちょくっている。彼が煽ることによって、今度はリュウシンの眉間が思い切り寄せられ、目が吊り上る。
このままだと争いに発展しかねないと思い、ナズナが双方を宥めるため間に入った。
「ま、まあまあ…確かにリュウシンはとても怖いですけど、いいところもあるんですよ」
「おい」
『へー?例えば?』
ストラに促されてナズナは彼のいいところを思い出してみた。
最近だと自分が熱を出して寝込んだ時に看病をしてくれたことだろうか。
過去にナズナが彼にしたことを考えれば、そんなことしたくなかっただろうに。
何となく、リュウシンとあの名家の獣人族の貴公子が重なった。彼もまた、不器用な優しさで接してくれていた。
歩みを進めながら、ストラは突然あ、と何かを思い出したかのようにナズナの顔の横に降り立った。
『そういえば少し前にユーフェイさんとやり合ったんですよねー。
その後ユーフェイさんお元気です?』
少々意地悪い目つきでナズナの紅い瞳を覗き込む。もちろん、その意地悪い目つきはナズナに向けられているわけではなく、彼女の中にいるユーフェイに向けられている。
やり合った、ということがどういうことか分からずにナズナが首を傾げた。
自分が知らないところで、二人の間に何があったのだろう。
ストラが事情を話す前に、先を歩いていたリュウシンが口を挟んだ。
「ユーフェイ様がオマエのようなカラス風情に負けるはずがない。
今もすこぶる調子がいいに決まっている」
『は?』
リュウシンの生意気な物言いに魔界の政務補佐官の小さな額に青筋が浮かんだ。
水妖族の神の調子がいいのは(ストラの気分的にはあまり良くないが)まだいい。
それに彼の実力についても認めてはいるが、それを水妖族の小僧に言われるのは腹が立つ。
『…君には聞いてないっス』
「フン」
水妖族の青年は鼻を鳴らして政務補佐官から顔を背けた。感じが悪すぎる青年の態度にストラが目を怒らせてナズナの右肩にとまる。
『何なんスか、あれは!彼はいつもあんな感じなんスか?!』
ぶりぶりするストラととりつく島もないリュウシンに苦笑しながらナズナが答えた。
「まあ…そうですね」
『うわあ…ナズナちゃんよくあんなのと一緒にいられるっスね…。
僕だったら数時間も持たないっスよ。あんな態度じゃ女性にもてないっス』
「聞こえているぞ!このカラス風情が!!」
『聞こえるように言ったんスよー』
怒鳴ったのは図星だからっスか?とストラがさらにおちょくっている。彼が煽ることによって、今度はリュウシンの眉間が思い切り寄せられ、目が吊り上る。
このままだと争いに発展しかねないと思い、ナズナが双方を宥めるため間に入った。
「ま、まあまあ…確かにリュウシンはとても怖いですけど、いいところもあるんですよ」
「おい」
『へー?例えば?』
ストラに促されてナズナは彼のいいところを思い出してみた。
最近だと自分が熱を出して寝込んだ時に看病をしてくれたことだろうか。
過去にナズナが彼にしたことを考えれば、そんなことしたくなかっただろうに。
何となく、リュウシンとあの名家の獣人族の貴公子が重なった。彼もまた、不器用な優しさで接してくれていた。