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文字数 1,062文字
残りの触手相手に戦っていたジンフーがリュウシンとナズナの元へ合流し、急いでその場から逃れようとしたその瞬間、さらなる闇がナズナ達の視界を覆う。
あの得体の知れない相手が視界を遮る何かを吐き出したのだ。
毒の類かもしれないとナズナ達は慌てて口元を押さえる。
視界が悪いため進むべき道が分からないが、この場に留まっていれば先程の触手にまた捕らわれてしまう。
咄嗟にリュウシンがナズナとジンフーの腕を掴み、さらに下へと潜っていく。
リュウシンの判断が功を奏したのか、触手はそれ以上追い掛けてくることはなかった。
気を取り直してひたすら泳いでいくと、ナズナの頭の中に浮かんだ巨大な岩肌に刻まれた、海底には不釣り合いの神殿の入り口がようやく姿を現す。
やはり入口の周辺だけ透明な薄い膜に覆われており、そこから魔力を感じる。
結界の類かとジンフーが警戒し、試しに自身の短剣を投げつけてみた。
投げられた短剣は薄い膜を通り抜け、神殿の床にからんと音を立てて落ちた。
こうして音を立てて落ちたということは、あの薄い膜の向こう…つまり神殿内部は水没していないことになる。
もしあの神殿内部が水没していたら、先程ジンフーが投げた短剣をもっとゆっくり床に落ちていたはずだ。
一体どんな魔法かは分からないが、ナズナにとってはありがたい。
さっそく神殿の入口に近づき、薄い膜を通り抜ける。神殿内に足を踏み入れると、やはりこの中だけ地上と同じように新鮮な空気が満たされている。
ナズナは一息吐きながらユーフェイとの同調を解除した。彼との同調を解除しても、服や髪は水に濡れることなく、潜る前と同じように乾いたままだった。
代わりにリュウシンとジンフーの服と髪がぐっしょり濡れていたが、特に二人は気にしていない。
きょろきょろと神殿内を見渡し、ジンフーが興味深そうに呟く。
「このような場所があったとは…一体いつの時代に誰が何の目的で造ったのでしょう?」
やや興奮気味のジンフーとは対照的にリュウシンは冷めていた。
「どうでもいい。早くユーフェイ様の魔力の欠片を見つけるぞ」
つれない元同僚の言葉にジンフーが肩を竦める。
どこまでも任務に忠実な彼らしいと言えば彼らしい。そういうところは彼のいいところでもあるが、同時に悪いところでもある。
さっさと一人先に進み始めるリュウシンの後をナズナとジンフーが追った。
入口を通り過ぎ、階段を下りた先の部屋にはさっそく本がぎっしり詰まった本棚が並んでいた。その様子はまさに図書館であり、本棚だけでなく隅の方に本を読むためのスペースが設けられていた。
あの得体の知れない相手が視界を遮る何かを吐き出したのだ。
毒の類かもしれないとナズナ達は慌てて口元を押さえる。
視界が悪いため進むべき道が分からないが、この場に留まっていれば先程の触手にまた捕らわれてしまう。
咄嗟にリュウシンがナズナとジンフーの腕を掴み、さらに下へと潜っていく。
リュウシンの判断が功を奏したのか、触手はそれ以上追い掛けてくることはなかった。
気を取り直してひたすら泳いでいくと、ナズナの頭の中に浮かんだ巨大な岩肌に刻まれた、海底には不釣り合いの神殿の入り口がようやく姿を現す。
やはり入口の周辺だけ透明な薄い膜に覆われており、そこから魔力を感じる。
結界の類かとジンフーが警戒し、試しに自身の短剣を投げつけてみた。
投げられた短剣は薄い膜を通り抜け、神殿の床にからんと音を立てて落ちた。
こうして音を立てて落ちたということは、あの薄い膜の向こう…つまり神殿内部は水没していないことになる。
もしあの神殿内部が水没していたら、先程ジンフーが投げた短剣をもっとゆっくり床に落ちていたはずだ。
一体どんな魔法かは分からないが、ナズナにとってはありがたい。
さっそく神殿の入口に近づき、薄い膜を通り抜ける。神殿内に足を踏み入れると、やはりこの中だけ地上と同じように新鮮な空気が満たされている。
ナズナは一息吐きながらユーフェイとの同調を解除した。彼との同調を解除しても、服や髪は水に濡れることなく、潜る前と同じように乾いたままだった。
代わりにリュウシンとジンフーの服と髪がぐっしょり濡れていたが、特に二人は気にしていない。
きょろきょろと神殿内を見渡し、ジンフーが興味深そうに呟く。
「このような場所があったとは…一体いつの時代に誰が何の目的で造ったのでしょう?」
やや興奮気味のジンフーとは対照的にリュウシンは冷めていた。
「どうでもいい。早くユーフェイ様の魔力の欠片を見つけるぞ」
つれない元同僚の言葉にジンフーが肩を竦める。
どこまでも任務に忠実な彼らしいと言えば彼らしい。そういうところは彼のいいところでもあるが、同時に悪いところでもある。
さっさと一人先に進み始めるリュウシンの後をナズナとジンフーが追った。
入口を通り過ぎ、階段を下りた先の部屋にはさっそく本がぎっしり詰まった本棚が並んでいた。その様子はまさに図書館であり、本棚だけでなく隅の方に本を読むためのスペースが設けられていた。