14-2
文字数 1,037文字
「君の両腕、すごいね。ちょっと憧れちゃうな」
「だったら大人しくしていろ。貴様の両腕も切り取ってやる」
銃口をしまい、手首の辺りからブレードを出す。それを見てホムラはさらに感心した。
「かっこいいけど、温度とか感じられないからやっぱりいいや!」
ホムラの言葉を聞いた途端、リュウシンの目の色が変わる。恐ろしい形相になり、攻撃もやや荒っぽく、力任せのものになった。
どうやら彼の逆鱗に触れてしまったらしい。おかげで攻撃が読みやすくなったので、流れがホムラの方に向いてきたが。
一瞬の隙を突き、ホムラは両翼を使ってリュウシンの背後に回り、彼の背中に拳を叩きつきた。まともに喰らった水妖族の青年は不本意ながらも膝をつく。見ていられなくなったナズナが思わず飛び出していた。
うずくまるリュウシンの前に立ち、両手を広げる。
「も、もう止めて下さい…!」
「馬鹿…オマエは引っ込んでいろ…」
侵入者を庇う少女を、ホムラは面白くなさそうに見下ろす。
自分のものを奪おうとする男を何故庇うのか。彼女の知り合いだからといっても、奪おうとするならホムラにとっては敵だ。
首輪で封じているとはいえ、彼の魔力はただ漏れである。やはり彼女を外に出すべきではなかったか。悠長に待たずに、さっさと彼女を自分のものにして大事に閉じ込めておくべきだったようだ。
竜人族の王はにっこりと笑いかけ、広げられているナズナの両手をやんわり下ろさせた。
「うん、君がそういうならもうやめるよ。そろそろ夜も更けてきたし、部屋に戻ろう」
まるでリュウシンなど最初からいなかったかのように振る舞う竜人族の王にナズナはぞくりとする。彼のナズナを見る目が、また変わったような気がした。
ホムラに促され、中庭を出ようとしたところで二人の身体が急に重くなり、動かなくなった。歩き出した体勢のまま固まる二人の前に、細身の青年が現れる。
水妖族の特徴的な耳と髪色、そして黒い服を纏った青年・ジンフーだ。
「一応保険のつもりで仕掛けておいて正解でした」
ひらひらと札を見せつけながら、彼はナズナ達の横を通り抜け元同僚に手を貸す。
少し回復したリュウシンがよろよろと立ち上がった。本調子じゃなさそうな彼を見て、ジンフーは両肩を竦める。
「さすがのリュウシンも、竜人族の王相手では苦戦しているようですね」
「……」
返す言葉もなく黙っているリュウシンを宥めるかのようにジンフーが続ける。
「まあ、無理もないでしょう。彼はユーフェイシンジュン様の魔力をうまく使っているようですから」
「だったら大人しくしていろ。貴様の両腕も切り取ってやる」
銃口をしまい、手首の辺りからブレードを出す。それを見てホムラはさらに感心した。
「かっこいいけど、温度とか感じられないからやっぱりいいや!」
ホムラの言葉を聞いた途端、リュウシンの目の色が変わる。恐ろしい形相になり、攻撃もやや荒っぽく、力任せのものになった。
どうやら彼の逆鱗に触れてしまったらしい。おかげで攻撃が読みやすくなったので、流れがホムラの方に向いてきたが。
一瞬の隙を突き、ホムラは両翼を使ってリュウシンの背後に回り、彼の背中に拳を叩きつきた。まともに喰らった水妖族の青年は不本意ながらも膝をつく。見ていられなくなったナズナが思わず飛び出していた。
うずくまるリュウシンの前に立ち、両手を広げる。
「も、もう止めて下さい…!」
「馬鹿…オマエは引っ込んでいろ…」
侵入者を庇う少女を、ホムラは面白くなさそうに見下ろす。
自分のものを奪おうとする男を何故庇うのか。彼女の知り合いだからといっても、奪おうとするならホムラにとっては敵だ。
首輪で封じているとはいえ、彼の魔力はただ漏れである。やはり彼女を外に出すべきではなかったか。悠長に待たずに、さっさと彼女を自分のものにして大事に閉じ込めておくべきだったようだ。
竜人族の王はにっこりと笑いかけ、広げられているナズナの両手をやんわり下ろさせた。
「うん、君がそういうならもうやめるよ。そろそろ夜も更けてきたし、部屋に戻ろう」
まるでリュウシンなど最初からいなかったかのように振る舞う竜人族の王にナズナはぞくりとする。彼のナズナを見る目が、また変わったような気がした。
ホムラに促され、中庭を出ようとしたところで二人の身体が急に重くなり、動かなくなった。歩き出した体勢のまま固まる二人の前に、細身の青年が現れる。
水妖族の特徴的な耳と髪色、そして黒い服を纏った青年・ジンフーだ。
「一応保険のつもりで仕掛けておいて正解でした」
ひらひらと札を見せつけながら、彼はナズナ達の横を通り抜け元同僚に手を貸す。
少し回復したリュウシンがよろよろと立ち上がった。本調子じゃなさそうな彼を見て、ジンフーは両肩を竦める。
「さすがのリュウシンも、竜人族の王相手では苦戦しているようですね」
「……」
返す言葉もなく黙っているリュウシンを宥めるかのようにジンフーが続ける。
「まあ、無理もないでしょう。彼はユーフェイシンジュン様の魔力をうまく使っているようですから」