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文字数 484文字

『ああ。教授に少し用があってな』

『だけど、僕を召喚したままにしておくには、エリゴス様もいないとまずいっスよ』

『俺が命令したことにすれば問題ない。
 …ただし、時間制限付きだがな。我ながら面倒な制約を作ったものよ』

やれやれ、と頭を振りながらエリゴスは呪文を唱えた。唱え終えるとストラの銀の冠についていた煤や傷が綺麗に取り除かれる。
どうやら今の呪文が命令らしい。不思議な言語のため、ナズナ達には聞き取れなかった上に理解できなかったが。
 お気に入りの銀の冠が元の美しさを取り戻したことにより、ストラはご機嫌だ。そんな部下の姿を見て苦笑いし、魔界の王は主の方に向き直って彼女の頭を優しく撫でる。

『ではな、ナズナ。ちょっと行ってくる。また後でな』

「エリゴス…」

不安そうに見上げてくるナズナに、エリゴスはウインクを送る。

『すぐに戻る』

 そう言うとあっと言う間に姿を消す。
彼の言う教授が誰なのか少々気になったが、ストラに促されて獣人族の集落トリアへと向かうことにした。
鼻歌交じりにストラが東の方角を見ながら言った。

『獣人族の集落はあっちの方向っス。ではでは、張り切って行きましょう!』
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