謎が謎を呼んで
文字数 461文字
そこで僕が発見したのが……。
きっちり90°に頭を下げた岬さんと、きまり悪そうに突っ立っている向坂……さんだったというわけだ。
いや、ただ一つ、戻らなかったものがある。ヨウコだった。
僕はあの後すぐに、実家へ戻った。探し回ったけど、どこにもヨウコの姿はなかった。
もちろん、信夫ヶ森にも探しに行ったけど、ムダに終わった。和泉の葛の葉狐の伝説をパクった別れ際の歌は、冗談でも何でもなかったというわけだ。
たぶん、時間を地球の半回転分だけ逆転させたせいだろう。
昔話の女が命を差し出さなくてはならなかったように、ヨウコも妖狐の妖力を使い果たしてしまったのだ。
これで、僕の妖狐……ヨウコとの恋の物語は終わりだ。でも、解けていない謎がいくつかある。