傍目から見れば異様な「会話」
文字数 407文字
冷や冷やしながら、僕は小柄なヨウコを膝の上に置いて座り、自分で飯を食うふりをしなくてはならなかった。僕は当然、箸を持っているが、箸を空中浮遊させるわけにはいかないヨウコは、犬食いをするしかなかった……いや、狐食いというべきか。
こんな姿勢で、男子高校生と中学生女子がひそひそ話しながら丼メシを代わりばんこにかっ食らう光景は、想像しただけでもかなり異様だ。しかも、ヨウコの姿は見えないのだから、僕がひとりで背中を丸めてなにやらぶつくさ言いながら物を食っているようにしか見えないだろう。
ありがたいことに、夜間シフト組は短い時間に夕食を済ませるのに精一杯で、僕の声も姿も気にしているような余裕はないようだった。
本当に、余計なことをする娘だったのだ。こいつは……。