世界の動きの微かな余波
文字数 530文字
椎茸の味噌汁にタケノコの煮ものと焼きサバとというよく分からない取り合わせの夕食には、故郷が感じられた。粗食で済ませるつもりが、突然の客に慌てて、ありあわせの動物性蛋白質食品を出したといったところだろう。
その傍で、僕は黙々と箸を動かした。今日のことを考えると、気まずくて何も言えなかったのだ。親父も若い女の子に慣れていないのか、照れ臭そうに黙っていた。
オフクロだけが学校のことをうるさく訪ねてきたが、僕も岬さんも「はい」と「いいえ」と「わかりません」しか答えなかった。
食い意地が張っていてよく喋るヨウコはというと、どうしたわけか夕食の場に顔を出さなかった。そもそも、実家の食卓にはもう、座らせる椅子がない。
だから、話題の尽きたオフクロが黙り込んでしまうと、あとは何となく点けたテレビから夕方のニュースが流れるだけだった。
反政府側の攻撃を受けた政府軍への支援が表明され、同盟国に……。