ヨウコが僕で、僕も僕で
文字数 446文字
そんなわけで、僕は軍の車両が行き来する昼下がりの国道で、バスに乗っていた。
動ける一般の自動車なんか限られてるし、バスも時間通りには来ない。それでも僕は、午前中から何とかバスを乗り継いで、少しずつではあるけど学校のある町へと向かっていた。
何でそんなことができるかというと、首から下げた絵馬のおかげだ。
そう、狐ネットワーク。
なぜ僕がそれを持っているのかというと……。
臭いと言いながらも昨日の服を着たヨウコは、僕の姿で絵馬を僕に手渡したものだ。
単純な話だった。ヨウコが僕の身代わりになって両親の目を引き付けてくれればいいのだ。
僕は自分自身に見送られるようにして、すんなり自宅を出ることができた。