ライバルの見た不思議
文字数 398文字
僕は質問を質問で返してはぐらかした。
走ることはできなくなっても、僕は記念公園めざして足を引きずった。ただでさえそんなに足は速くないのに、歩みはいつもよりも遥かに遅くなった。
一旦傾いた日は沈むのが早い。どんどん長くのびていく軍の車両の影をただ見つめながら、僕は痛みと悔しさで歯を食いしばって歩いていた。
軍の車両が見えなくなって、一般車両用に開放されたと思しき道路に出たのだと分かった。そのとき、数珠つなぎに並んだ車の中から、僕に声をかけたのが向坂だったのだ。
向坂は本当に不可解そうに眉根を寄せた。
ちょっとムカッと来たが、事情が知りたい僕は、黙って話を聞いた。