戦争の幸運な余波
文字数 427文字
岬さんに誤解されるまいと、向こうからは見えるわけがないのに、ヨウコからは背を向ける。
電話の向こうで、クスっと笑う声が聞こえた。
やっぱり、聞こえていたのだ。首だけ回してヨウコを睨みつける。
ムキになるか、しらばっくれるかと思いきや、なんだか寂しそうな顔をしていた。
思い出したように岬さんが言うのが聞こえて、僕は再びスマホに向き直った。こんな大事な話の後で、何か軽く付け加えられるのに、ちょっとガクっときていたりする。
それだけ言って、岬さんは電話を切った。その通り確かめてみると、学校からの全体メールが来ていた。
情勢静観のため、安全を考慮して本日休校とします。
こんな言い方は何だが、戦争さまさまだ。いくら岬さんのためとはいっても、日曜を丸一日使って、次の日に登校というのはちょっときつかった。