オヤジの正論
文字数 437文字
早い話が、また軍が海外で戦争するということだ。軍の奨学金についてくる「お礼奉公」……卒業後の入隊義務の間にこれが来るかもしれない。
他人事ではなくなってくるのだが、平然とした口調で、親父は持論をまくしたてた。
入って1年や2年の教育中に、命のかかるような所に送られたりはせん。戦地に送られると言ったって、そんな大事なところでペーペーのぺーに何ができる。勝てる熟練にしか、そんなところは任せられんだろう。なに、年季が開けるまでの話だ。太平洋戦争の末期じゃあるまいし、それまでにコイツが駆り出されるようなことはない。
その勢いに押されてオフクロは黙り込んだが、そうじゃないのが1人いた。
いや、1匹というべきか。
僕が言ったと親父が思うのも当然だ。ごまかしたけど、ヨウコの声は止まらない。しかも、僕の声色だ。