解けていく謎
文字数 402文字
その嘘に、あの時と同じくらい胸が痛んだ。本当は、僕の幸福のために、この世から消えたのだ。でも、それは岬さんが知らなくても、いや、知らないほうがいいことだ。
曖昧に応えるしかなかった。二度と会うことはない。心の中では、そう思っても。
やがて一仕事始めると、かなりの荷物が蔵の外に出た。後のがらんとした空間の中で、岬さんはころりと横になる。その仕草は、どこかヨウコに似ている気がした。
その少数の中に向坂さんがいたわけだ。あれから、僕たちの前には姿を現していない。忙しいのか、忘れられたのか、それとも避けているのか。
それは知らなかった。ちょっと心配な気がしたが、その経験を聞いて、あっと思った。