すべてが1つの輪でつながる
文字数 356文字
やっぱり才媛だ。僕の目には長い波線にしか見えないが、岬さんの目には1字1字がくっきりとした形を取って見えるのだろう。
だが、結婚前にあまり情けない所も見られたくないので、何もかも分かっているようなフリをしてみせた。
だが、そんな拗ねた物言いも、岬さんにはひらりとかわされた。別の箱を引っ掻き回りて、一枚の古い写真を取り出す。
写真を見せられて、再び、あっと思った。その女性は、果てしなく似ていたのだ。
信夫ヶ森の妖狐のヨウコに……。
その時、僕の頭の中で、全てがつながった。