思わぬ危機
文字数 406文字
肩をすくめてみせると、甲高い声で詰問が返ってきた。
実のところ僕も困り果てていたが、ヨウコに情けないところは見せたくなくて、努めて冷静を装った。だが、いささか感情的な追及は止むところを知らなかった。
どうにもならないことを責められるのがイヤで、僕はヨウコの言葉を途中で押しとどめた。セーラー服の妖狐は、唇を噛みしめてうつむいた。
その何度目かになる拒絶の言葉に、急に胸が苦しくなった。喩えでも何でもなくて、もう、立っていられないくらいだった。僕は膝をついて、ぜえぜえと喉の奥で息をした。
床に倒れ伏しそうになったところを、ヨウコが小柄な体で抱き留めた。その細い腕に抱えられながら、僕は薄い胸に頭をもたせかけた。そうしないと、全身で押し倒してしまいそうだったのだ。