命の危機と……
文字数 409文字
なにか冷たいものが頬に当たって気が付くと、やけに高い所にある実家の天井が見えた。
目にいっぱいの涙を溜めた岬さんが、僕を見下ろしている。顔が逆さなのは何でかと思ったら、膝枕をしてくれているのだった。
慌てて、一発で跳ね起きる。
そう叫んだけど、全然大丈夫じゃなかった。大きな声を出したせいか、頭がくらっとして目が回り、再び畳の上へ仰向けに倒れる。
二つに折った座布団を滑り込ませたのは、ヨウコだった。そこへ、親父とオフクロが何だ何だと駆け込んでくる。二人して僕と岬さんを交互に見比べた。
ということは、誰がどうやって僕を連れてきたのか、見た者はないということだ。近所の人が見ていたら、今ごろ死ぬか生きるかの大騒ぎになっていただろう。
たぶん、ヨウコが助けてくれたのだ。