実家と日本と
文字数 420文字
僕は子どもの頃から、お爺ちゃんお婆ちゃんからそんな昔話を聞いて育った。
少し年をとって知恵がついてくると、そんな話が残っている田舎暮らしのハンデをつくづく感じたものだし、だからこそ親とケンカしてまで私立高校に進んだのだ。
だからこそ、絶対に実家へ帰るのはイヤだ。みっともない。
それはそうだけど、僕ひとりだって格好がつかないのに、ましてや岬さんなんか連れて帰ろうものなら、人目には付くわ親父には面目ないわ、それこそ授業料までも止められてしまうおそれがある。そうなれば地元の公立高校を、2年後に掟破りの成人高校生になるのを覚悟で受け直すしかない。
軍から奨学金を貰ってお礼奉公だ。紛争地の最前線などに送られた日には、命がいくつあっても足りない。アフリカの内戦だって、対立する勢力の背後にいる大国が動き出したら、同盟国の軍隊が駆り出される。