訪れる絶対の危機
文字数 406文字
それた話題を思いっきり元に戻してくれたのは岬さんだった。傍目から見れば兄妹がワケの分からない議論をしているように見えたことだろう。
完全に置き去りにされて、居心地が悪かったに違いない。それがわかっていながら、愛想笑いしかできない自分が悲しかった。
それに引き換え、ヨウコは要領がいい。
姿を見られていることにあっさりと開き直り、いかにも物わかりのいい妹といった様子でペコリと頭を下げる。襟元から服の中がモロに見えて、僕は背中を向けた。
その時だった。
……ズキン!
心臓の辺りに、ものすごい痛みが走った。
目の前が真っ暗になって倒れたとき、最後に聞こえたのは遠くの木の葉のざわめきと、2人の女の子の声だった。