2人並んで目の前に……。
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2人の女の子が同時に謝ったので、僕はどっちに答えていいのか分からなくなった。
とりあえず、泣いていた岬さんに返事をする。
何を言ってるのか、さっぱり分からない。困り果てて目をそらした先では、ヨウコが申し訳なさそうに縮こまっている。こっちも何でか見当もつかないが、そこでふと思い出したことがあった。
時間帯からして、ほぼ日中全て入れたバイトのシフトはまだ終わっていないはずだ。どうして、ここにいられるのか?
姿を消してタダ乗りしてきたらしい。
岬さんは僕の言葉を誤解したようだった。それとほぼ同時に、ヨウコが重たそうに口を開いた。
そんなことだろうと思った。僕はどっちにも、同じ言葉で答えた。
岬さんもヨウコもいっぺんに泣きだしたので、僕は大いに困った。それは両親も同じことだったようで、親父は困ったような顔でどこぞへ引っ込み、オフクロは岬さんをおろおろとなだめていた。