契約終了のとき
文字数 426文字
適当なことを言って恐る恐る振り向くと、セーラー服姿のヨウコがちょこんと正座していた。どうやらこの服装が、人間に変身した後のスタンダードらしい。
安心したけど、ちょっと残念な気もした。
でも、この畏まった態度は、どこかで見た気がする。そう、契約を交わしたあの朝だ。
あの朝と同じように、ヨウコは三つ指ついてあの仁義を切った。
最後だけが違う。
そう、「す」じゃなくて「した」……つまり、近い未来の意思表示じゃなくて、過去形。
しどろもどろに尋ねると、ヨウコは満面の笑顔を浮かべた。
確かに、考えてみれば、散々振り回されてきた。むやみやたらと機械は逆転させるし、岬さんとの二人きりの時間は邪魔するし、バイト先までついてきて、2つともクビにさせて、ろくなことがなかった気がする。