出発前のひと悶着
文字数 439文字
だが、妖狐のヨウコにとって、契約外のことはどうでもいいらしい。僕が岬さんと結ばれれば、その後の人生も日本の命運も知ったことではないのだろう。
僕の行くところ、ヨウコはどこにでもついてくるのだから、正確に言えば岬さんとの二人きりはあり得ない。
大真面目な顔をしているところを見ると、一応、自分の立ち位置を気にはしているらしい。
こっちは顔をしかめてみせたが、実を言うと、特に問題にはしていなかった。いや、むしろ、それはそれで面白いような気がしていて、何が起こるか楽しみでさえあった。
だが、僕の期待はさらりと肩透かしを食らわされた。
興味津々で聞いてみたけど、ヨウコはにやにや笑って答えようとしなかった。
仕方がないので、とりあえず、岬さんにメールしてみることにした。
自分のことは棚に上げて、ヨウコはちょっとふてくされた。