まだ見ぬ戦とその目で見た戦と
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気にもしていないというふうに笑顔で答えてみせたが、そのフォローはピント外れだった。
まあ、バレなければいい。ヨウコとしても、その目で100年を見てきた身としては、黙っていられなかったのだろう。僕もまた、戦争で死ぬかもしれないと思ったからこそ、軍の奨学金は避けてきたのだ。
でも、よくよく考えてみれば、親父の言うことのほうが現実的だった。だからこそ、みんな気楽に学生生活を送って、卒業したら年季奉公に出るのだろう。
そこまで心配してくれたのが、嬉しかった。
重い話をうまくそらしたつもりだったけど、思いのほか、しんみりした言葉が返ってきた。