僕たちの誓い
文字数 593文字
天井に遣った目をちらっと下ろすと、ヨウコが慌てて前を隠すところだった。
ちょっと気まずい空気が流れた。胸に重苦しい空気が溜まっているのを、一気に吐き出す。
咳払いでその場をごまかしたのは、妖狐のヨウコのほうだった。
恩を着せるつもりはないが、それなりのビジョンを示してもらわないと納得はできない。当然の疑問のはずなのだが、ヨウコは正面から答えようとはしなかった。
めいっぱいの威圧は、何の展望もないことの裏返しだ。目の前に暗雲がたちこめる。
それを吹き払うには、思いっきり笑ってみせるしかなかった。
ヨウコは、セーラー服の薄い胸を小さな拳で叩いてみせた。
自信たっぷりに請け合っては見せるが、今日も落ち着きのないその振る舞いを見ていると、どうにも不安は拭い去れなかった。
そう思ったとき、ヨウコは喝を入れるかのように再び咳払いすると、正座して厳かに言った。
僕も居住まいを正して、あの朝、仁義を切った妖狐との約束を改めて口にする。