ヨウコの不思議
文字数 441文字
からかうヨウコを睨んだが、その後ろには窓のカーテンを閉める司書のオバサンがいた。
ぶっきらぼうな言葉通り、一応、ガラス扉には「ここに触れてください」と書いてある。
頭を掻きながら答えはしたが、言われた通りにしても開くわけがないことは分かっていた。
机に戻って、鞄にノートやらシャーペンやらを放り込む。その手元を眺めながら、ヨウコは無責任なことを言う。
机に戻って、鞄にノートやらシャーペンやらを放り込む。その手元を眺めながら、ヨウコは無責任なことを言う。
それが岬さんのことを指しているのか、自分のことを指しているのかは分からない。だから、返事のしようがなかった。
代わりに、答えの分かりきったことを聞いてみる。
代わりに、答えの分かりきったことを聞いてみる。
ヨウコは答えないで、自動ドアの前に立つ。触れてもいない扉が、勝手に開いた。
近くで書類を整理していた司書のお姉さんが驚いて振り向いたが、誤作動はどんな機械にでもあるものだ。だから問題にもならなかったようだが、実はこれ、種も仕掛けもあるトリックだ。