諦めと、ささやかな謎
文字数 315文字
絶望で全身から力が抜けたが、その分、落ち着いた。
そこまで結論が出ると、気持ちがすっきりする。
まかり間違えば人生に関わるような大事件だった。
だが、つまらない失敗をたしなめるかのような言葉を交わしながら、僕たちは実家の灯を目指して夜道を歩いた。
腹が座ったところで、思い当たった不思議も1つだけあった。
文字数 315文字
まかり間違えば人生に関わるような大事件だった。
だが、つまらない失敗をたしなめるかのような言葉を交わしながら、僕たちは実家の灯を目指して夜道を歩いた。
浅賀 才(あさが さい)
立身出世のために田舎から出てきて下宿生活を送る高校2年生。上昇志向は強いが、出身地へのコンプレックスも比例して大きい。親には強気な態度で出るが、自分にも多大な負担を敢えて掛ける真摯な面がある。
妖狐のヨウコ
100年を生きて人間に変身できるようになった狐。旺盛な好奇心に任せて出てきた都会で暮らすために、才の部屋で厄介になっている。自由に姿を消したり変身したりできるが、大好物の油揚げを目の前にすると、一切の自制心を失って術が使えなくなる。