ヨウコの秘密
文字数 423文字
だから今度はこの自動ドア、なかなか閉まらない。俺はエレベーターの「開」ボタンを押してもらっている最後の利用者のように、その向こうへと駆け込んだ。
自動ドアが閉まるのを背中で感じながら、俺はヨウコの頭を指で小突く。
語るに落ちるというやつで、ムッとして見上げるヨウコは自分の仕業であることを白状していた。
このヨウコ、自動ドアのモーターでも何でも、回るものを逆転できるのだ。
このヨウコ、自動ドアのモーターでも何でも、回るものを逆転できるのだ。
実をいうと、少し、ほっとしていたりもする。ヨウコをそばに置いたまま岬と話すのは、結構ストレスがたまるのだ。
だが、文句を言うのはヨウコのほうだ。
だが、文句を言うのはヨウコのほうだ。
真剣なのだった。岬さんが自らのルーツを知ろうとするのは、いわゆる歴女の好奇心などではない。親に勝手なことを言って下宿までしている俺とは比べ物にならなかった。