本来あって然るべき世界
文字数 446文字
賑やかに立ち並ぶ屋台。
アニメ系の音楽。
軍の若い兵士たちは満面の笑顔を浮かべて、出店の焼きそばなんかを子どもたちに振る舞っている。
その帝国陸軍記念公園の隅っこに、岬さんは向坂と見つめ合って立っていた。そこに、僕は割り込むようにして駆け込んだ。
よく晴れた朝の光が、眩しく降り注ぐ。地球の裏側ではまだ、血で血を洗う内戦が続いているが、その影響は日本まで及んでいない。
夜半までのは、世界戦争勃発かとまで危ぶまれるほどの情勢だった。ところが事態は急転直下、関係国の会合が急遽、執り行われた。
薄氷の平和と言えなくもないが、一般庶民がつまらない諍いのとばっちりで命を落としたり離れ離れになったり、人生を狂わされたりするよりはよっぽどマシだ。