その後のささやかな経過報告
文字数 434文字
その謎は、ずっと後になって解けた。
高校を卒業して軍での年季奉公を終えるまで、岬さんは戦争に送られないか心配しながらも、独力で学業を続けて待っていてくれた。改めて就職した僕は、夜間の大学に入った。
お互い社会人となった僕たちは、やがて、お互い結婚を誓い合う関係になる。
僕は彼女のルーツとなった杵築家のある土地を訪ねて、そこに新居を定めることにした。杵築家の人たちは快く僕たちを迎えてくれたし、地元の人たちも見ず知らずの僕たちを、まるで子供時代から知っていたかのように受け入れてくれた。
結婚や引っ越しを控えて大わらわの毎日となったが、そんな中でも僕が岬さんと真っ先にやったのは、その土地の氏神を訪ねることだった。
知り合うきっかけとなったあの事件で、土地の神社や祠といったものがどれだけ人を強く結びつけているかを知ったからだ。