意外なハードル
文字数 472文字
返事は早かったが、他の休日は向坂との予定が詰まっているということだろう。
こっちの質問には答えなかったヨウコがメール画面を覗き込んで、人のやることに口を挟んできた。
男女間の電話とメールにどれだけのハードル差があるか、狐には分からなくても仕方がない。大げさなためいきと共に恩を着せてくる。
一方的な親切を途中で遮ると、ヨウコはぷうっと膨れてそっぽを向いた。それには構わず、岬さんにメールを送る。
そこですかさず電話した先は、バイト先の店長だ。
間髪入れずに、もっともな一言が返ってきた。もちろん、そんなことは分かっている。
僕も即座に答えたが、店長の反応は冷ややかだった。
短いが、いちいちもっともな返答に、僕はいささか腰砕けになって電話を切った。いつのまにか側にきていたヨウコが、心配そうに見つめていた。