男の決断
文字数 493文字
家に着いて両親の顔を見たとき、僕には話さなければならないことができた。
今後の身の振り方の問題だ。
もうバイトができない以上、このまま学校へ通う方法は1つしかない。
玄関口から一歩も上がらずにそう告げたとき、オフクロは露骨に暗い顔をした。
親父はというと、口元に笑みを浮かべて、ゆっくりと頷いた。
いつになくきつい口調で、オフクロがたしなめた。
お前ら、というのがオフクロと誰を指すのかよく分からなかったけど、たぶん戦争や軍隊の派兵に反対する人たちだ。ときどき、横断幕上げてデモかなんかやってるのをテレビで見る。親父はしばしば、そういう人たちを小馬鹿にするところがあった。
アフリカでの文民保護を目的とした派兵を承認した政府に対し、軍事同盟による追随と非難する国々は、敵対行為については例外なく武力行使を含めて制裁するという声明を……。
台所でつけっぱなしにしているらしいテレビから、紛争関連のニュースが流れてくる。