ロリコン疑惑はお互い様
文字数 510文字
ヨウコの首には、不格好までに大きな絵馬が下がっている。だが、願い事や絵はない。
それがあるべき場所には、必要な情報が次から次へと現れては消えるのだ。
そこは考えるだけ野暮というものだろう。
このおかげで、岬が休日に集めてきた資料では分からないことがあっても、どこへ行ったら調べられるのか、僕はさも自分の知識であるかのように助言することができたのである。
あまり格好いいことではないが。
それでも何とか、由良家の先祖が宮司の家系だったらしいことまでは分かっている。
ヨウコはぷいとむくれたが、実際、最初のうちは岬にムダ足を踏ませたりもしたのだ。
最近はそんなことがないように、バイトのシフトも外して自分で現地に足を運んだりもしているのだ。
もちろん、そのときはヨウコも一緒だ。もし、ヨウコの姿を知っている人に見られたら、明らかに中学生とデートしていると誤解されただろう。
もっとも同じことは、姿の見える岬さんとフィールドワークやってる件の大学院生にも言えるのだが。