暗い話を狐と明るく
文字数 548文字
共に生きた仲間の消息ぐらい、知っておいてもよさそうなものだ。
行き先ではなく、消息を軽いノリで聞いてみる。
やっぱり重い話だったが、ヨウコは事もなげに言った。それはまるで、生死を達観した哲人の言葉のようにも聞こえた。
だから、僕もさらっと尋ねられる。
深刻な話題のはずなのだが、やっぱり口調は軽かった。
なぜ、ヨウコが僕について街中に出てきたのか、だいたい見当がついた。
寂しかったのだ、ただ単に……だが、それはあと900年も続く孤独だ。
暗い雰囲気にならないよう、さらにツッコもうとしたが、それはしないで済んだ。
ステップを上がると、車内の電光掲示板にニュースが流れていた。
隣国との緊張に警戒、ミサイル移動……。
そこまでしか読めなかったのは、ヨウコがいたずらっぽく囁いたからだ。
また、胸が微かに痛んだけど、なんとか倒れずにこらえた。