たどり着いた源流
文字数 448文字
そんな思いをして歩いた明るい道の果てに、鬱蒼と生い茂る森を背にした真っ赤な鳥居があった。
無数の針のような視線からようやく解放されてたどり着いたのが、この辺りの氏神となっている宇迦之御魂神の社である。一歩足を踏み入れると、鳥居の向こうは別世界のように薄暗く、涼しかった。
朱がくすんで、あちこち剥がれた無数の鳥居をくぐって山道を登っていく……のは岬さんだ。華奢な身体からは想像もできないほど、足腰は強靭だった。
僕はというと、すっかりヘバっている。子どもの頃に何度かお参りに来たことがあるはずなのだが、10年以上たった今でも、昔と同じくらいキツイ道のりだ。
それなのに岬さんは、僕を尻目にどんどん先へと行ってしまう。そのしなやかな脚やヒップラインを急な傾斜の下から眺めることのないよう、目をそらしながら身体を引きずり上げるのは至難の業だった。