「妹」よりも僕のピンチ
文字数 493文字
行くところには、姿を消してどこにでもついてくる。バイト先だって例外ではない。大人しくしていてくれれば別に文句もないのだが、閉館前の図書館でさえ、アレなのだ。ましてや、大好物の油揚げを目の辺りにしたりなんかしたら……。
なぜか僕は、コイツに「お兄ちゃん」と呼ばれている。
僕も妹にツッコむように……。
いかにシフト交代時の厨房が戦場のような騒ぎだとしても、丼がふわふわ空中に浮いていた日には、大パニックになるのは必定だ。僕は油揚げご飯を貪り食うヨウコのために、自分の食べる分もそこそこに、何度も飯櫃に足を運ばなければならなかった。
使っていいのは丼1個だけ、飯はどれだけ持って行ってもいいが、残したらバイト料は減給だ。
とにかくヨウコはよく食ったが、それでも胃袋が身体より大きくなることはあり得ない。おのずと限界というものがある。いつ、ギブアップするかも分からなかった。