大逆転の謎
文字数 420文字
どうしてこんなことになったのか。
簡単にいうと、時間が逆転したからだ。こんなことができるのは、この世に多分、1人……いや、1匹しかいない。
妖狐のヨウコだ。
僕が山の向こうの夕日に向かって叫んだ時のことである。
信じられないことが起こった。背中で薄らいで消えるはずの僕の影が、目の前にくっきりと現れたのだ。
振り向いてみると、朝日が昇っている。そして、立ち上っていた煙は消えていた。スマホを確かめてみると、休校を告げるメールはそのままだ。でも、Webニュースを検索してみると……。
深夜の世界首脳会談、危機回避へ
ミサイル発射断念、その思惑
どこもかしこも危機回避の話題でもちきりだった。そのままといえば……。
足の痛みは治まっていなかった。捻挫した足はどうにもならず、僕は記念公園へと半歩ずつ歩かなくてはならなかったのだった。