両親との対決
文字数 405文字
実家まで、2時間はかかる。
ずいぶんと勇気が必要だった一言を、岬さんは軽く受け流してくれた。
確かに、両親に知らん顔したまま、行って帰って来れば済むことにも見える。
その手の噂は光より早く伝わると言っても過言ではない。
歪んだ情報を真に受けた親父に授業料の送金を止められるよりも、帰ったら帰ったと正直に申し出て、女の子にうつつを抜かしているわけではないと主張するしかない。
玄関から先へは入れないし、入る気もない僕を前に、母は相好を崩して喜んだ。だが、父は実に分かりやすく、対照的な行動を取った。
オフクロは怒りのあまり言葉が出なかったのか、それとも岬さんの前で言ってはいけない言葉を察して遮ったのかは分からない。それはともかくとして、僕はとりあえずその場をごまかすことだけはできた。