100年の孤独、1000年の狐龍
文字数 458文字
この辺にはまだ狐は出るけど、100年なんてのはそうそういないだろう。ましてや、1000年なんていうレベルの妖狐がいなくなっていても不思議はない。
死んだ、とは言わない。
それ以上は聞かないことにしたが、狐には狐の複雑な事情があったらしい。僕なんかには察しもつかないから、唐突に聞かされても分かりはしない。
知らなかった。いや、別に人間が知らなくてもいい話だ。だが、急ではあっても重い話題じゃない。沈んだ気分から抜け出せるという安心から、聞いてみた。
籠の鳥を逃がしたみたいな軽い言い方に、ツッコんでみた。
100年生きたヨウコが人を化かす上に、そんなとんでもないものがそこいらを飛び回っているとは思えなかった。だが、その名を口にした張本人は、さらりと言った。