妖狐のヨウコの大パニック
文字数 506文字
さっき岬さんに気持ちを告げようとしたときと同じくらい、でも別の意味で心臓がバクバク鳴った。
とはいえ、さっきよりは遥かに気は楽だった。もう、どうにもならないという気がしていた。
ヨウコは、言い訳がましく余計なことを話しはじめた。
まかないを残らず食べてしまった時点で、バイト先にはもう、顔を出せない気がする。でも、それはこっちの問題で、店からクビになるなんてことはないだろう。
だが、ヨウコの答えは最悪の処遇を納得させてくれた。
他の店員とのトラブルを起こしたら、それはクビだろう。しかも、極めつけはこれだった。
さっきもそうだったけど、その姿は誰にでも見える。尻尾までは、見た者の気のせいで済むだろう。でも、両手をついてしまったのはアウトだ。完全に、正気じゃない。
いわゆる、いや、文字通りの「狐憑き」というヤツだ。
学校にも連絡されたろうから、バイトそのものができなくなるということになる。