ヨウコの逆上
文字数 401文字
眉をひそめる親父に弁解しながら、目でヨウコをたしなめる。だが、キッと顔を見上げたヨウコは、口で言っても聞かないのに黙るわけがなかった。
ううん、あのときは、もっと性質が悪かった。だって、みんな勝つつもりでいたもん。自分とか自分の家族が死ぬなんて思ってなかったもん。自分たちだけは、ここだけは関係ないって気でいたもん。誰か死んでも、自分でなくて、家族でなくてよかったって……。
涙声はもう、僕のものではなくなっていた。親父もオフクロも、ただ茫然としている。
まるで、狐に化かされているかのように。