ヨウコとの出会いの思い出
文字数 408文字
実家から帰るとき、バスに乗り込んで来たヨウコは、ずっと僕の隣に座っていた。下宿近くのバス停に着いた頃には、どこで降りたのか、いつの間にか姿を消していた。
だが、その日の夜、レジ打ちに立った僕の前に、ヨウコは店のおにぎり1つ持って都合よく姿を現したものだ。
それが文字通りだってことには、店長や他の店員に対応を促されて気付いた。それまでは間違いなく、店内には誰もいなかったのだ。
金なんぞ持っていないことはハナっから分かっていたが、こういう行動に出られると、無視することもできなかった。
そんなわけで、コンビニへ寄りたがるヨウコへの宣告は、あの晩と全く同じだ。
客ではなく、関係者だということを店内にアピールした一言だったが、それは完全に裏目に出た。
運の悪いことに、岬さんが店に入ってきたのだ。