熱い勝負を挑む僕
文字数 412文字
正直呆れたが、僕はそのくらい、岬さんの眼中にはないのだった。というか、向坂だってそういう対象ではなかったのだから仕方がない。その気がちょっとでもあったら、告白されてうろたえたりはしないだろう。
その告白の張本人は、落ち着いたものだった。そこは年の功というやつか。
この人、とは言わない。完全に見下されている。この瞬間、岬さんが紹介した「不特定多数の誰か」の内のひとりは、完全に目下の恋敵と化した。
これも、仕方がない。ケンカを吹っ掛けたのはこっちのほうだ。
さりげなく先制攻撃を放った。別に、岬さんを連れ出したわけじゃない。
向坂が寂しげに笑うところを見ると、どうやら僕の名前をださなかったことがショックだったようだ。
ちらっと見ると、申し訳なさそうにうつむいた。