ヨウコの正体
文字数 415文字
僕はちょっと凄んで見せたが、それは半分、図星だったからだ。半年前、実は故郷に逃げ帰ったことが一度だけある。
ヨウコは顔を丼に突っ込むのをやめて、くいと僕を見上げた。
ごねる娘を父親がたしなめるように言うと、再び始まる。
犬食い、というか……。
そう、ヨウコは人間の女の子じゃない。
第一次世界大戦が終わるまで、僕の実家で人を化かし続けていた狐なのだ。もっとも、コイツに言わせれば「それアタシじゃない」ってことになるんだけど。
でも、僕が乗ったバスを強制的にバックさせたのは、間違いなくヨウコ……いや、妖狐というべきかもしれない。