二人で歩く夜道なのに
文字数 441文字
海外への派兵……つまり、紛争への介入。平たく言えば、戦争。
こうなると、大きなトレーラーやトラックが国道を数珠つなぎに走るようになって、なかなか一般車両やバスが走れなくなる。
それは親父も分かっているみたいだった。
と穏やかに促す先は、岬さんだ。当然。
その目は僕に「とっとと帰れ」と冷ややかに言っている。
その頃には、岬さんも何とか食事を済ませられるくらいの時間は経っていた。食卓に手を合わせて立ち上がるのを追いかけるようにして、僕も席を立った。
台所を出たところにある電話には、デカデカと僕のスマホの携帯番号が書いてある。
玄関を出たあとに、ふと傍らを見る。
いつの間にかヨウコがトコトコ歩いている。ついてくるなと言ってもムダだろうし、それを岬さんに聞かれて、また誤解されてもいけない。僕は黙って歩きつづけた。