キョンちゃん  水沢せり

文字数 639文字

たしかにコメディー、しかしホラー


 こちらを拝読して、いまさらながらコメディーとホラーは紙一重なのだということを再認識しました。

 いや、リアルならホラー、フィクションならコメディーと、いったところでしょうか。

 最初に登場する女性の話の通じなさも、あとからやってきた「キョンちゃん」を大切にする男性の話の通じなさも、フィクションだと思うからニヤニヤと笑って読めるわけなのですが(語り口が軽妙なところもコメディー感を演出していると思います)、実際に自分がこの作品の主人公の立場だったとすると……よくよく考えずともとんでもない厄災に巻き込まれているわけですから、これはどうやったらこのピンチを切り抜けられるのだろうかと、読み終えた後で頭をかかえてしまいました。

 でも現実に、こういうマイ・ワールド没頭型な人って、いますよね。程度の差こそあれ、他人の話に一切の聞く耳持たないの。

 そういう人を相手にする時はコミュニケーションの難しさを感じもするし、苛立ちもするし、下手したら身の危険も感じもするしで、やはり、リアルだったらこれはホラー。そして、そういう身近な怖い話を笑い話に転嫁できるのも、小説の妙味かな、と感じました。

 ともあれ、主人公くん、逃げ切って!

 紙面の外からエールを送ります(笑)

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