たとえ世界に背いても  長江朋美

文字数 1,194文字

初恋の彼が、総理である父親のSPになったと知り、実家に戻ってきた夕子。彼に「処女をもらって!」と体当たりで挑むが相手にされないうえに、秘書官との婚約を迫られ…!?


(マンガParkより)

https://manga-park.com/title/1078

大事なお嬢さんの処女なら、もう少し大事にしてくれてもいいんじゃないかな?
展開的には早かったよね。作品的には面白かったから、「ん?」と思えど目を瞑った。
目を瞑ったと言えば、「女は半歩下がって男の後ろをついて歩け」系なんだよねえ、これ。作品の面白さを損なうわけではないけど、「ヒロインが立候補して政治家になる」という選択肢が微塵も出てこないことにモヤモヤを感じてしまう。
「跡を継ぐ」の意味が「結婚して政治家になる夫を立てる」だったからねえ……。第1巻が2009年出版ということを考えると、この「家」的な考え方には時代遅れ感がどうしても漂う。
先日も話題にしたけどLGBT。どうしてこの言葉が現代社会で流行りのキーワードになっているかといえば、「(ジェンダー)」の価値観の多様性を認めよう、と、人間社会が一歩先の世界に進もうと藻掻いているからでもあり、「女はこうあれ」「これが女の幸せ」「男なら……」という生き方への拘束から人類を解き放とうとしているからでもあるわけじゃない?
しかし、難しいのは「(ジェンダー)」を解き放とうというこの運動が、旧来の幸福価値を否定しねないヒステリックさを伴いつつある、ということもでもあるんだよね。
ん?
「夫を立てて生きる」ことが幸せな女性も、いるんだってこと。
そうか、そういう生き方を否定したら本末転倒なのか。その生き方が不正解なわけじゃない。
理想的なのは数ある選択の中から選べる自由があることなんだよね。

旧来の「家制度」が否定される理由もまた、「それしか生き方がない」ことにあると思えば、いろいろすっきりするね。

まあ、そういうことを考えても「それしか選択がない」このヒロインの「後継者問題」は、問題があるとは、思うんだよ……。

現実に、このヒロインってスーパーレディなわけだもんねえ?
ん?
洋裁に留まらず手先が器用(壊れたブローチまで簡単に直せる)、料理の腕も一流、名前と顔を一発で覚える、誰からも愛される性格、こうと決めたら猪突猛進な行動力、周囲を巻き込んでいける影響力。
いやほんと、本人が父親の跡を継いで政治家になればいいよね?(笑)
でしょう? 家を捨てて惚れた男と一生を添い遂げるか、政略結婚して家を守っていくか、の二択しかなかったのは納得がいかないんだよ。
あの葛藤の瞬間に「じゃあ、あなたが立候補されては」があっても確かによかったとは思うけど、それをしたらストーリーは続かない気もする……。
くっ……。
まあこれは基本、イケメン見て「かっこいいな♡」と思う漫画だからさ(笑)
確かに悔しいほど、イケメンだった!
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