ベルセルク 三浦建太郎
文字数 1,982文字
巨大な剣を背負い、鉄の義手をつけた剣士・ガッツ。彼の行くところ、血の雨が降り、死体の山が築かれる…! 大ヒット!! 圧倒的迫力の叙事詩!!
(白泉社サイトより引用)
ばかと言うな。君は『ベルセルク』がこれまでにどれほどの心理的トラウマを人に与えて来たか、知らんだろ?
これだから長編すぎる作品は、怖いんだよね。先日も話題にした『時の車輪』しかり、十年スパンで連載が続いてしまうとこういうことが起こり得る。
あれは……いつか手に取るかもしれないと思って最後に読んだのがどれだったかは調べてある。13巻までは読んでいる。
いやいや、13巻までの内容を思い出しなよ。あと2巻ですっきり解決する……わけがない!
『アルスラーン』はぼくの場合四巻くらいまで読んだところで壮絶な貧乏期に入り今に至っているんだけど、いろんな噂を聞くに……今のままの読後感を大事に思い出にしておくべきなんじゃないかと……思っている。
『ベルセルク』も、そうなんだろうか?
待て待て、なんか日本語がおかしいよ君。
都合が悪いと猫に戻るくせをやめなさい!
まあ、そんなこんなでな、今日は『ベルセルク』の思い出に浸りながら酒でも飲もうかと。(どん)
どのくらい飲んだら、
にゃん?
……はあ。(深いため息)
ガッツ本人だけを見ておくと単純ではあるんだけどね。傭兵に拾われ、生きるために人を殺し、愛する女性と大切な仲間たちをグリフィスに壊され復讐に燃える。
彼を狂わしたのは野心だったのか、ガッツへの嫉妬だったのか。まあ、一言で説明できるほどこの二人の関係も単純じゃないんだよね。
因果律もまた、謎めいたままの設定だと思うんだ。ぼくらの生きるこの世界とは違い、因果には多分に恣意的なものが含まれているように思える。
そして、そうであるならばその因果は誰(何)が引き、誰(何)が紡いでいるんだろう、というのが次の疑問になるんだよね。何を目的に、というのも込みで。
あれなんで、ごっそりと落ちたんだ? ストーリーにそぐわなくなった? それとも、核心を早く出しすぎた?
人によって世界が律せられているってこと?
そうだねえ。もう、今となってはわからないままなのが、残念。
それもまたガッツとキャスカの子供説が、あるよね。
でもフローラが死ぬときに言ったセリフがあるじゃないか。あれを踏まえると、彼は
グリフィスのせいで現世 と幽界 の境が壊れてしまったし、世界の浸食が進めば今後もう少し深く物語に食い込んでくる存在だったようには思う。
作者は今頃、幽界 で先に逝った先人たちと楽しくやっているのだろう。
なんだかそれは、羨ましいような気がするね。。。。
謹んで三浦建太郎せんせいのご冥福を、お祈り申し上げます。